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第65号 2018年/1月号

鉄塔敷地斜面災害予測システムの改良

 去年7月に発生した北部九州豪雨は、A線を中心とする送電設備にも甚大な被害を与えました。鉄塔付近でたくさんの斜面崩壊が発生したためです。
 これまでも豪雨の度に斜面災害が発生し、塔体の安定を脅かしてきました。鉄塔の倒壊は大規模停電を引き起こし、多大な損害を与えてしまいます。電力の安定供給のためには、危険斜面を予測することは、避けて通れない課題と言えます。
 現在、九州電力鞄aには、既に鉄塔敷地斜面災害予測システムがありますが、これは降水量を元にしたもので地形要因が反映されていないことから、どの鉄塔のどの斜面が危険なのかがわかりにくいという意見もありました。したがって今回、地形情報を用いて危険斜面を抽出し、鉄塔ごとの危険度を判定する方法を検討し、ご提案しました。
 地形情報は、国土地理院発行の5mメッシュ標高データから求めた、「傾斜」と「曲率」の値を用いました。曲率とは、尾根や谷を表す数値です。
 斜面災害の有名なものとして、地すべりや最近では深層崩壊がありますが、最も数多く発生するのは「表層崩壊」です。表層崩壊は地形の影響を大きく受けることから、今回はこの表層崩壊を対象とし検討を行いました。
 表層崩壊は、急斜面の肩部や、また降った雨が集まりやすい谷型の斜面で多く発生します。したがって、斜面の「傾斜」と「曲率」の値を組み合わせることで、危険な斜面が抽出できないかと考えました。そこで、危険度の点数を「曲率」+「傾斜」×aと仮定し、既存の崩壊箇所の点数が高くなるようaの値を求めていきます。
  検証の結果、a=-0.35が適切であると判明しました。概ね、既存の崩壊箇所が低い点数で判定できており、目的に近い結果を得ることができました。既存のシステムでは崩壊の誘因である雨による評価を行っていますが、今回は素因である地形の情報が整理でき、鉄塔毎の評価が可能となりました。
 また、今回対象外とした「地すべりや深層崩壊」についても、今後検討を重ね、より精度の高い危険度判定システムに近づけるよう、お客さまへご提案をしていきたいと考えています。

(架空送電技術部)

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