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第64号 2017年/10月号

アンカー引張試験時における微小振動測定

 『振動』。意味は、文字通り揺れ動くことであり、我々が一番身近に感じるものは地震ではないかと思います。地震は体感できる振動ですが、体感できないごく微小な「常時微振動」というものがあります。それは、特定の振動源から直接的に影響を受けずに、いつも動いている振動です。

写真 鉄塔基礎の常時微振動測定状況 当社では、この測定方法の適用範囲を広げるため、四社共同(日本基礎技術殿、KFC殿、スエロテック殿、および当社)で「グラウンドアンカー」の(以下アンカー)健全性評価を行っています。
 アンカーとは、アンカーと呼ばれる鋼線(または鉄筋)を地中に挿入し、地中の動かない地盤(不動地盤)に定着させる定着部と地表付近の構造物を高強度の引張材で連結させ、引張力を利用して安定させる(すべり土塊を動かさない)工法です。

図 グラウンドアンカーの例

 そのアンカーの健全性を評価する手法の一つとして用いられている試験に、「リフトオフ試験」があります。
 地上部から強制的にアンカーを引張り、残存引張力の経年変化を求めるもので、アンカーの部材に作用した緊張力の変化がアンカーの健全性と関係があるため、このリフトオフ試験が、有効な試験の一つとなっております。ただし、該当アンカー全数の調査は、現地にジャッキなどの機材や資材を持ち込む必要があるので、コストが膨大となるため、リフトオフ試験調査本数の規定は、全数の10%かつ3本以上となっています。

図 リフトオフ試験例

 そこで、リフトオフ試験を行うアンカーを抽出するための補助的な試験、もしくは、リフトオフ試験に代わる代替試験方法があれば、アンカーの新たな健全性評価手法の一つとして選択肢が広がります。
 その可能性を秘めた方法が今回の「常時微振動測定」となります。今回、既に出願済の特許に対する追加データ取得、および新たな知見を特許に追加することを目的として、初めてアンカーの引抜試験中の微振動測定を実施しました。試験では、実際と同じ複数のアンカー部材に対する引抜き特性を把握する必要があるため、日本基礎技術殿の社有地にアンカーを施工し、実規模での試験を行いました。通常、アンカーは斜面に施工されるものですが、社有地に斜面がなかったことと、試験等の作業性およびアンカーの施工性を考慮して、平坦地で行うことにしました。なお、試験は、引張載荷時および荷重保持時に微振動を測定し、荷重と変位および振動の値を取得します。

写真 引張試験機およびアンカー体 試験の結果、アンカー本数の違いによる引抜き特性の変化の状態を確認することができ、特許に追加するデータ取得の目的は果たせたと思います。
 今後は、その試験後のデータ、および実際のアンカーでの実測データを蓄積および解析することにより、経年的な変化を数値で表せることを目標とします。このことで、微振動測定により、アンカーの経年劣化の特性が把握できると考えております。

(架空送電技術部)

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