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第56号 2014年/5月号

「SP簡易土留め工」実地試験について

 本工法は、急斜面の表層崩壊対策工として、より短期間で施工でき、また経済的に優位で、運搬も含めた施工性に優れた工法の開発を目指して、九州電力(株)送変電輸送技術センター殿と研究を進めてきたものです。

 本工法の概要を説明すると、表層崩壊が懸念される斜面に径76mmの鋼管を打設し、土塊の移動に対して抑止効果を期待するものですが(下図1参照)、様々な改良を加え、優れた特徴を得るに至りました。

図1 SP簡易土留め工 適用の参考図(安息角内土砂流出抑止)

 特徴の一つは、資機材が少なく軽量であるため、施工の省力化を図れることです。

 もう一つの特徴は、地表上に構造物が残らないことが挙げられます。打設する鋼管を抑止杭とみなし、引張力を期待しないため支圧板を使用しません。このため、杭頭を地中に埋め込むか、地表に突出した杭を切断する等して地表に構造物を残さないように処理します。(専用アダプターを製作し、地表面下5〜10cmまで、杭を完全に埋設できるようにしています。)

 これは、地表での植生被覆工設置や下草払いの作業に支障が出ないようにする工夫です。

 実地試験では、本工法の実用化を目指し、資機材や工法の改良を試行錯誤的に繰り返しました。

 杭の打設は、油圧打撃機をベースに行います。N値50以下の地盤であれば油圧打撃機のみで打設可能ですが、N値50以上の岩盤では打設が困難となります。そこで、簡易ボーリング(径50mm)によるパイロット孔掘削法を導入し岩盤内打設も可能としました。

 鋼管杭の先端形状についても最適を目指し検討を繰り返しました。様々な杭先端形状で試験を行ったところ、片切り形状とし、刃先をリーミングする加工法が最も打設時間を短縮できることも確認しています。

スチールパイプスタンドの写真 打設する鋼管を支える台座は様々な傾斜地に対応できる小型の専用台座であることを目指し改良に改良を加え、写真(3)に示す可倒式の専用スタンドを製作しました。((株)アルファーソリューション殿特許出願中)

 また、施工に要する時間を把握するため、打設にかかる時間の計測も行いました。その結果N値30程度の締まった地盤に鋼管3mを打設する場合の所要時間が15分以下と、期待を上回る成果を得ています。この所要時間は、簡易ボーリングによる先行掘削を併用することで、さらに短縮できることも確認できています。

SP杭の打設状況(傾斜地も同様)の写真 本工法は、急斜面における表層崩壊の抑止策としては別次元の経済性と施工性をもたらしてくれるものと期待しています。

 既に九州電力(株)・QHT送電部門殿各所から問い合わせを受けていますが、今後は、本工法の杭を親杭式土留め壁の親杭や落石防護柵の支柱として利用することも検討していきます。

(環境調査部 係長)

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