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第50号 2012年/6月号

「送電線の熱履歴測定方法」の特許取得

 平成23年5月20日に表題の特許が正式に登録されましたので、ご報告いたします。この特許は、九州電力殿、住友電気工業殿との三社共同特許です。平成19年に出願し、昨年正式に登録となりました。

 この特許は、「残留抵抗比」という考え方を用いて、電気抵抗を測定することで、送電線の熱履歴を推定する方法です。

 一般に熱履歴を測定する方法として、素線の引張試験による方法があります。(電気学会技術報告第660号)素線の引張強さは、高温になるほど短時間で低下が進行することを利用したものです。しかし、撤去した電線の素線に対して引張試験を行う場合、電線の撚(よ)りを戻して試験を行うため、金属組織に新たな転位が発生し、試験結果データにばらつきが生じてしまいます。

 本特許の残留抵抗比とは、絶対温度0度に対する常温の電気抵抗の比を言います。金属組織には@不純物、A組織の格子欠陥、等の影響によりばらつきがあります。ACSR電線のアルミ素線は、経年による不純物の変化はないと考えられますが、長期間熱を加えることにより多結晶が再結晶化し、格子欠陥が減ると考えられます。そのために熱劣化前後の残留抵抗比に差が生じてきます。

 具体的な測定方法は、まず新線または熱劣化していないと考えられる箇所から残留抵抗比を測定し、熱処理時間と残留抵抗比の関係を示す「マスターカーブ」を作成します。次に対象物に対して残留抵抗比を測定し、「マスターカーブ」から、対象物の熱履歴を推定します。

 この手法の特徴はマスターカーブを作成することができれば、微小な熱劣化の影響を推定することが可能となることです。

「マスターカーブ」イメージ

 なお、特許出願前に、一時的な過負荷運用を行った送電線の撤去電線劣化診断試験において、この手法を用いて熱劣化による強度低下を確認することができ、その後の電線張替計画に役立てていただくことができました。

(電力技術部 次長)

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