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第47号 2011年/6月号

制限空域マップの作成

 長崎県の大村湾東岸には、長崎市から諫早市、大村市を経由して佐世保や武雄方面へ延びる複数の送電線があります。  この大村湾東岸に、昭和50年海上空港として長崎空港が建設されました。

図:大阪航空局長崎空港事務所ホームページより

 長崎空港は、大型のジェット旅客機も離着陸可能な第2種空港で、半径25qに及ぶ制限空域が設けられており、空域平面から上部には、基本的には構造物を作ることができません。
 大村湾東岸の地形は標高が高く、地表自体が空域平面より高くなっています。
 空港の建設以前から有る送電線は、空域平面より上部に出ていても問題ありませんが、建て替えを行う場合や、新しい送電線を建設する場合には、大きな障害となります。
 そこで、平成21年度に長崎電力所送電課殿のご依頼で、制限空域と地面標高から、鉄塔建設可能高さを表すマップを作成しました。(マップ1)

マップ1

周辺構造物による除外条件
周辺構造物による除外条件

飛行場標高から既存物件の高さを
1とした当該物件の高さの比
申請物件の位置(上図参照)
1以下0.7以上 実線A-1で囲まれる部分
0.7未満0.5以上 実線A-2で囲まれる部分
0.5未満0.3以上 実線A-3で囲まれる部分
0.3未満 実線A-4で囲まれる部分

周辺地形による除外条件
図:周辺地形による除外条件

飛行場標高から山の高さを
1とした当該物件の高さの比
申請物件の位置 山と申請物件との距離  
1以下0.7以上 着陸帯と山の間にある場合 300メートル以内  
山の外側にある場合 300メートル以内  
0.7未満0.5以上 着陸帯と山の間にある場合 500メートル以内  
山の外側にある場合 800メートル以内  
0.5未満0.3以上 着陸帯と山の間にある場合 800メートル以内  
山の外側にある場合 1キロメートル以内  
0.3未満 着陸帯と山の間にある場合 1キロメートル以内  
山の外側にある場合 1.5キロメートル以内  

 大村湾東岸の山間部はほとんど赤色で、鉄塔を建てられないことがわかります。ただし、一定の条件を満たせば除外申請を行い、建設が可能となります。
 除外申請の条件は、建設予定地の付近に、建設物よりも標高の高い地形または構造物が存在する場合で、空港との方向と距離別に制限が設けられています。
 除外条件を表す二つの図は、ある一点の地形に対して許容される高さを示していますが、このような比較を、対象エリア全体で行うことで、除外申請が可能な、任意の地点における建設可能鉄塔高さを求めることができます。

マップ2 マップ3

 周辺地形から決まる、除外申請可能な鉄塔高さのマップがマップ2で、既設の鉄塔から決まる除外申請可能な鉄塔高さマップがマップ3になります。
 周辺地形から求めたマップでは、山頂付近や平坦部においては建設可能なエリアはありませんが、一定の平均傾斜を持つ山腹部分には、建設可能な場所が存在します。

鉄塔建設可能高さマップ

 一方、既設鉄塔から求めたマップでは、送電線に沿って建設可能な場所が存在します。
 これら3種類のマップを組み合わせて作成したのが鉄塔建設可能高さマップで、除外申請無しで建設できる高さ、または除外申請を行って建設することができる鉄塔高さを表しています。
 このマップの作成に使用した標高データは、2万5千分の1の精度であるため、最終的には現地での標高確認が必要になるかもしれませんが、机上でのルート選定作業には十分使用できる精度を有していると思います。
 九州内には福岡空港など、広い制限空域を持つ飛行場があるので、機会があれば他の空港についても同様なマップを作成していきたいと考えています。

(電力技術部 小蜒Oループ長)

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