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第44号 2010年/6月号

OFケーブル終端箱磁器碍管の超音波探傷測定

 平成21年11月に九州電力殿の依頼により、OFケーブル終端箱磁器碍管の劣化調査(磁器碍管の劣化は雨水等の水分で特有の劣化を起こす場合がある)を実施しました。
 OFケーブルの磁器碍管の構造は図1に示すように、フランジ金具との接合部の、磁器の周りをセメントで巻いています。セメントに水分が付くとアルカリ成分が溶出し、アルカリ水となります。このアルカリ水が磁器の反応性シリカに接するとアルカリシリカ反応を起こします。最初の現象はマイクロクラック(磁器強度低下)ですが状態が進展した場合、亀裂となります。磁器碍管は油で充填されているため、亀裂が発生すると漏油して、ケーブル事故に繋がります。
 そこで今回、非破壊で吸湿変化部と亀裂箇所を測定できる超音波探傷測定器を用いて磁器碍管の劣化度を調査しました。

図1 OFケーブル磁器碍管構造図及び水分侵入経路

 ここに、超音波探傷測定器(写真1)の原理について簡単に説明します。

写真1  超音波探傷測定器

図2  吸湿変化検出原理(1)磁器吸湿変化部はマイクロクラックが生じており、超音波は正常部と比較して、伝搬しづらく、減衰する。その減衰状態を測定し、吸湿変化の有無及びその範囲を推定する。

図3  亀裂検出原理(2)磁器吸湿変化に起因し、磁器に亀裂が発生している場合は、その亀裂からの反射波形が帰ってくるため、亀裂の発生がない場合に比べ、手前の位置に反射波が生じる。その反射波の位置により亀裂の有無並び、位置を推定する。

 磁器のアルカリシリカ反応は、2回焼成の磁器又は旧素地の磁器に水分が付くと発生しやすくなります。

図4  正常、亀裂時の探傷波形

2回焼成の磁器(超高圧の磁器碍管)
焼成回数を重ねると磁器内部の気孔率が高くなることから、吸湿量が高くなり、吸湿変化しやすい。
旧素地の磁器(2002年以前製造の磁器碍管)
旧素地(クリストバライト磁器)と新素地(アルミナ含有磁器)では、石英の含有率が高い旧素地の方が、磁器中にギャップ(石英とシリカ質結晶またはシリカガラス相の隙間)が多く散在していることから、吸湿劣化しやすい。

写真2  磁器碍管超音波探傷測定 今回、調査した終端箱磁器碍管はこれら2種類の磁器に当てはまりますが、特に亀裂や問題のある吸湿変化部は発見されませんでした。
 しかし、磁器碍管が雨水にさらされているため、今後、アルカリシリカ反応を起こす可能性があります。そのため、現段階で磁器に水分が付着しないように防水処理(碍管上部、下部にシリコン系シーリング材を塗布)を行い、劣化の進展を抑制する作業を実施しました。

 最後に今回のような調査を行って、設備の健全性を管理することは事故の未然防止が図れるため、安定した電力を供給する上で非常に重要であると感じました。

(地中技術部 豊田)

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