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第33号 2006年/10月号

OFケーブル保守管理

 わが国の地中送電線は現在500kVまでが実用化されており、近年新設設備の主流はCVケーブルに移ってきていますが、昭和5年に始めて東京電力においてOFケーブルが布設され、現在でも国内の22kV以上の設備量の約1/4はOFケーブルが占めており、経年設備が増加してきています。
  OFケーブルの構造は、導体の周りを油浸紙で巻きつけた絶縁体でできており、ケーブルの内部は絶縁油で充填され、常時大気圧以上の油圧が加わっています。従って、OFケーブルは油量、油圧が適正に管理されていれば、絶縁体の劣化はほとんどなく、非常に信頼度が高いケーブルであると言われています。しかしながら、経年や布設環境の変化等により、油浸絶縁体では加熱による熱劣化や内部放電による電気的劣化を生じることになります。これに伴い、分解ガスが発生し、絶縁油に溶解することから絶縁油を採油し、油中のガス成分を分析することにより油浸絶縁体の異常診断及び劣化診断を行うことができます。
 従来から九州電力様では、OFケーブルの絶縁油の油中溶存ガス分析を経年20年〜25年以上の線路について実施されておりましたが、OFケーブルの保全管理対策として、より精度の高いOFケーブルの健全性評価を行うため、これまで各店所毎で分析・評価していた業務処理を改め,1箇所で全線路の分析・評価・改修計画の立案・データの長期的な管理を行う体制とすることで、当社に業務委託がありました。
 具体的な業務内容としましては、(1)ケーブル接続箱からの絶縁油の採油(1検体当り:ガス分析用200cc、物理特性試験用500cc)、(2)油中ガス分析(9種類)、(3)物理特性試験(5種類)、(4)劣化評価・点検補修計画策定、(5)データ管理(TTシステムへの入力補助)等となっています。

分析ガスの種類
H2 水素※
C2H2 アセチレン※
C2H4 エチレン※
CH4 メタン※
C2H6 エタン※
CO 一酸化炭素※
CO2 二酸化炭素
N2 窒素
O2 酸素
TCG 可燃性ガス総量
(※の合計)
物理特性試験
1 油中水分量
2 全酸価
3 体積抵抗率
4 誘電正接
5 絶縁破壊電圧
接続箱からの採油例

 なお、OFケーブルの線路総数は122線路あり、終端箱や接続箱からの採油総数は約5700検体あり、これらを1回/3年周期で実施します。分析の結果,劣化が進行している場合は周期を変えて実施します。
 ところで、採油は停止作業により実施しているため、今後は各電力所において逐次、活線採油コネクタを接続箱に設置される計画であり、線路停止に関係なく採油できれば本業務の均平化を図ることが期待できます。
 また、特に本業務で注意すべきことは、同一相から同時に数箇所の採油をしてはならないこと。採油時に空気を混入させないこと。採油量に見合った絶縁油の補給を確実に行うこと。多回線線路においては、ケーブルシースの電磁誘導対策を行うこと等が考えられます。最後になりますが、九州電力様から期待される的確な採油分析・評価を行うことに努めてまいります。

電気協同研究第55巻第2号「OFケーブルの保守技術」(H11.10発行)で
推奨されている判定基準(n:ガス未検出)
評価 管理項目と基準値 劣化レベルと点検周期
アセチレンガス量
(ppm)
可燃性ガス総量
(ppm)
A 50≦C2H2 - 緊急対応を必要とする接続箱。
速やかな改修作業が必要とされる。
10≦C2H2<50 2000≦TCG
B 10≦C2H2<50 TCG<2000 絶縁体に異常が認められる接続箱。
6ヶ月後に再検査を行いガス量等増加傾向を配慮し、改修時期を決める。
n≦C2H2<10 10000≦TCG
C n≦C2H2<10 100≦TCG<10000 何らかの異常が発生していると考えられる接続箱。
1年後に再検査を行いガス量等の増加傾向に関して管理しながら使用する。
1000≦TCG<10000
D n≦C2H2<10 TCG<100 異常の認められない接続箱。
3年毎の定期検査を行う。
TCG<1000

(地中技術部 大和グループ長)

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