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第32号 2006年/6月号

豪雨災害による鉄塔敷地保全対策工

 平成17年9月3日〜6日の台風14号に伴う豪雨により、宮崎県内では甚大な被害が出ており、今なお復旧作業が行われている箇所が少なくありません。送電線についても例外ではなく、九州電力(株)宮崎支店殿の管内では、各地で送電鉄塔に関わる被害が生じています。
  弊社では、台風の通過直後に被害状況調査に駆けつけましたが、調査の結果、一ツ瀬幹線203号、220号、および新日向延岡線64号、65号では、鉄塔に影響を与える地すべりが発生していることが確認され、対策設計を踏まえて、抑止工事が実施されつつあります。
 この地域で発生した地すべりは、四万十層群と呼ばれる堆積岩の風化土砂と岩盤部の境界面を滑動面とするすべりが主体となっています(流れ盤タイプでは無い)。
 一ツ瀬幹線203号もこのタイプの地すべりですが、すべりは敷地老番側の山腹斜面に発生しており、R側上方からL側下方に向かって、幅140m、長さ120m、厚さ15mの土塊が滑動し、すべりの側方亀裂はC脚およびD脚付近に達していました。
 このように、亀裂は敷地内にも達していましたが、床板部は安定した地盤に定着しており、敷地は尾根上であることからも直ちに鉄塔が崩壊するものではないと判断されたものです。

地すべり地と鉄塔敷地の関係の図

 この地すべりに対する斜面対策としては、(1)抑止杭+アンカー工 (2)上部排土工+末端部盛土 を提案しましたが、地すべり末端部には崩壊した県道があり、広範囲の伐採など用地確保の問題もあったため(2)案は採用されず、抑止杭+アンカー工が採用されています。
 地すべりの中心付近では厚さ15mに達していると推定されましたが、C―D面では、厚さ6.8m厚のすべりであることが確認されました。
 対策設計では、この土圧に対して、φ457.2o×t12.7o×長さ14m〜16mの鋼管杭を1.5m間隔で18本配置し、頭部にアンカーを設置することで必要な抑止力をカバーできると判断しています。また杭頭処理は、斜面傾斜に併せ杭三本を一組として連結し、アンカーは、3m間隔で配置しています。

抑止くい設計平面図

抑止くい設計断面図

抑止工 施工完了後の状況写真 本工事における最大の焦点は施工場所が直搬不能、河川を挟んだ対岸側の急傾斜地であることです。この場所に大口径ボーリングマシーンを用いた杭およびアンカーを設置する計画であることから、運搬には大掛かりな索道が計画され、その後H鋼をはじめとする多様な資材を用いた大規模な作業ステージ(谷側の最大高8m)が組み立てられ、本年3月、無事に完工されています。

(電力技術部 橋本課長)

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